さよなら
窪ワタル
女の残り香が飽和した部屋の片隅のベットを
夏が来る前にシングルにしよう
と決めてから
もう何度も朝日を浴びて
僕が寝返りを打つたびに
ぐっと沈み込みながら
男臭いにおいを嗅ぎ続けてくれた
右手の方ががらんと広いお前
もう一度お前にあの女の甘いにおいを
なんておもったわけじゃないのに
今日まで一日伸ばしにしていて
ごめんな
僕の本能の衝動も
歪んだ欲望も
身勝手な妥協も
取り繕うための夜も
すべて受け止め続けてくれた
お前を捨てる
蒸し暑い週末の
疲れ切った午後に
お前を捨てる
飽和したさよならを言って