あなたという風景
佐野権太

あなたはいつも
わたしの
開かれた窓でした
そこにはいつも
新鮮な空気が流れていて
清潔な水色の空とつながっている

たとえばそれは
岬の草はらの淡いスケッチで
たとえばそれは
ガーゼで絞ったシトラスの朝で

頬杖をつくときも
指先を浸せば
瑞々しい
あなたの世界とつながって
それだけで
あんしんしていられた

抱きつくことも
抱きしめられることも
けして
なかったけれど

光のつぶで縁取られた
あなたが手をふって
笑っている

あなたの
手のひらから生まれた子供たちが
未来、未来、と叫んでいる


自由詩 あなたという風景 Copyright 佐野権太 2008-05-22 20:18:57
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