五山の送り火
ばんざわ くにお

三ヶ月前に死んだ夫、二吉の
葬式代の支払期日が迫っていた
今夜夜なべして内職をすれば
明日の期日にはなんとか間に合うと
お芳は思った
一条通りから小間物屋の
横道に入ると
あとは暗い夜道が続く
初盆に二吉は
家族に会えたのだろうか
家路を急ぐお芳の背後に
左大文字が
輝いていた


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自由詩 五山の送り火 Copyright ばんざわ くにお 2008-05-18 15:40:33
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