踏み台 
服部 剛

独り暮らしの古家から 
週に一度 
玄関から門前に出て 
杖を手にワゴン車を待つ 

「おはようございます」 

ドアが開いて下りてくる 
孫のような青年の
腕につかまりながら
車に乗るお年寄りの足に 
いつも踏まれる 
白い木箱の踏み台 

一人・二人・・・ 
集まるお年寄りの
会話が弾む車内に 
窓から日は射し 

床に置かれた 
木箱はかがやく 

自らを語らぬ 
人の顔が 
白木の面に 
うっすら見えた 








自由詩 踏み台  Copyright 服部 剛 2008-05-16 23:06:39
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