楽園−エリシオン−
AKiHiCo

口移しで味わう毒薬は
最高の甘い蜜です
死は虚無ではなくて
現在ある心を
開放
するだけ

赤が弾けた口の中は
迸る憧れで充ちて
滲む視界の中で
ようやく捕らえたキミ
優しく私を見つめ
頭を撫でて


ました

唇から零れる液体
温かくとろとろ
身体を伝って床へ
私の証を
私が居た証を
私が私が生きた証を

「ねぇ、楽園ではずっと一緒に過ごせるの、」
「ねぇ、楽園はどんな花が咲いているの、」

ねぇ、私はこれから楽園へ行けるの、
ねぇ、どうしてキミは来ないの、

怖くない怖くない
一人でも行けるのです
苦味に姿を変えた毒薬は
この身体を浚って
痛みを走らせます

嗚呼、キミの眼の中で
私は喘ぎながら
楽園へ向かうのです
一人きりで

大丈夫、キミはあの人と幸せになって


自由詩 楽園−エリシオン− Copyright AKiHiCo 2008-05-16 04:14:30
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