せつないきもち
アンテ


どんなにくるしいときも
ぐっとたえて
かたときもはなさなかったけれど
とうとういっぽもすすめなくなったので
しかたなく
きもちをぜんぶてばなすことにした
あかるいきもちはとおりがかりのひとにあげて
くらいきもちはそらにはなって
いきばのないきもちは
じめんにあなをほってうめた
さいごまでこころにしがみついて
はなれないきもちを
むりやりひきはがすと
かさぶたをはがすようにいたんだ
やっぱりきもちをてばなすなんてまちがっている
おもいなおしたしゅんかん
きせつはずれのかぜがふきぬけて
さいごのきもちをかなたへとうばいさった
あわてておいかけたけれど
どんどんはなされるばかりで
あしがもつれてころんでしまった
じめんにころがってかたでいきをしていると
なみだがぽろぽろながれだして
そらがとてもあおくて
じょうくうでかぜがごぉごぉおとをたてていた
なみだがぽろぽろながれて
ひざしがあたたかくて
きのえだがかぜにゆれていた
むねのおくがいたくて
くもがそらをゆっくりとよこぎって
なみだがぽろぽろながれた
しらないひとがとおりがかって
てをさしだしてくれたので
からだをおこしてほこりをはらった
あの わたしのきもちがゆくえふめいなんです
どこかでみかけなかったですか
たずねると
そのひとはじっとわたしをみつめて
そしておだやかにほほえんだ
なみだがとまった



自由詩 せつないきもち Copyright アンテ 2004-07-10 01:56:33
notebook Home 戻る