祖父粗大
黒川排除 (oldsoup)

一説には窓である茎暮れだす町

うつむけば夜の野原ひとり歩く誰

消えねば風鳴る 消えても風になるばかり

足首しか見えぬ石段からコップ

鏡からせり出す背中森に行きたい

塩の塊だここまで転がってきたのか

撥ねた髪のような飛沫の突端で聖歌

犬は満足の声を上げる生物のいない海

殺し屋隔てる毛皮一日中撫でられ

印を破らず抜けてくる指わが胸を差す

窓枠を踊れる術者ごと外す

弟を納める陶器の箱に黴

篭手の紺降る 図面に雲の影として

右足釣られてぶら下がる頭に遠吠え

階層壊れて飽くまでの接着剤の粘り

密度見る立方体の中で気絶

りを崩す細く長く遠い雨脚

知り合い現れない明るさが円を描く

父の筆洗えば洗うなりの雨

かなり良い出来の空を運ぶゴンドラ


川柳 祖父粗大 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2008-05-14 04:18:17
notebook Home 戻る