祖母の寝息 
服部 剛

一週間後に脳の手術をする 
八十八の祖母の部屋に 
慰めの言葉もみつからぬまま 
顔を出そうとした 

ふすまの隙間から 
すべての恐れを一時忘れた 
安らかな寝息が聞こえた 

ぼくは足音を立てず 
廊下を引き返し 
自分の部屋に戻った 

 


自由詩 祖母の寝息  Copyright 服部 剛 2008-05-11 17:52:23
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