ヘッドフォンの奥で
霜天
ぐおん
と唸りをあげて
自動販売機が震え出す夏
電車のゆれる空間で
ヘッドフォンの君を見る
ひどく 暑い
冷房が壊れているとか何とか
聞き取りにくい声でアナウンスしていた
ような気がする
わずかに漏れてくるリズムは
聞いたことがある
ような気がする
ヘッドフォンの奥で世界は
どんなふうに回転してるんだろう
炎天
じりじりと焼かれながら
静かに加速する電車
僕はイヤホンを差し込んで
目を閉じる
聞きなれたリズムに
世界はゆっくりと回転していく
学校までの時間
君の見る世界を僕は知らない
聞き覚えのあるリズムをイヤホンの奥で探しながら
それぞれに世界は回転していく
ヘッドフォンの奥 で