緑宇
木立 悟
音へと変わる木の影の道
風がそのまま過ぎ去る道
やわらかく目をふせ
空あおぐ道
遠さと遠さの間は濡れて
縦の緑は震えている
北の星と朝焼けは消え
光はかすかにたどりつく
雨あがりのくちびるで
失われた石を歌うもの
水にとどけ
水にとどけとささやきながら
曇の光に触れるもの
ゆらめき反らす影の道から
罠に波打つ野のむこうから
音へと変わりゆくものたちは
緑を巡る口笛に
石の響きをのせてゆく
自由詩
緑宇
Copyright
木立 悟
2004-07-09 14:09:54