澄み渡れ、春
千波 一也
迷いや憂いが
くもらぬように
目から
胸から
耳の奥から
にごりに満ちて
澄み渡れ、
春
愛するべきと
かなしむべきと
つつしむべきと叫ぶべきとに
挟まれ
まもられ
恥じらい、やすらぐ
どうしてだろうか
弱さや
もろさや
頼りなさほど
捨ててはおけずに
重ね
重なる
押され押されて
なおつぶれても
灯りのような
ひとみを
もって
晴れてゆく疑いに
沈み
しずかに
眠れるように
澄み渡れ、
春
傷つきやすい直線と
よく似た背中へ
まっすぐに
自由詩
澄み渡れ、春
Copyright
千波 一也
2008-05-09 10:46:05
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