火葬場
1486 106

死体は人が生きた名残りで
その顔に浮かべる表情には
人生のすべてが凝縮されています

葬儀に集まった人の中には
涙を浮かべる人がいたり
明るく振舞う人がいたり
誰もがそれぞれの方法で
死というものを受け止めています

特に親しい間柄だった人は
複雑な思いを抱えていることでしょう
気持ちに従い涙を流すのも
気持ちに逆らい笑って見せるのも
その人なりの強さなのでしょう
乗り越えようとする意志なのでしょう

葬儀に集まった人の数と
幸せは比例すると言われています
「生まれてきてよかった」
天国の魂はきっとそう思っていることでしょう

火葬場の煙突から浮かんだ煙は
思い出となってこの町に降り注ぎ
肉体は朽ち果てても心の片隅で
人はいつまでも生き続けるのです


自由詩 火葬場 Copyright 1486 106 2008-05-08 19:53:55
notebook Home