火葬場
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死体は人が生きた名残りで
その顔に浮かべる表情には
人生のすべてが凝縮されています
葬儀に集まった人の中には
涙を浮かべる人がいたり
明るく振舞う人がいたり
誰もがそれぞれの方法で
死というものを受け止めています
特に親しい間柄だった人は
複雑な思いを抱えていることでしょう
気持ちに従い涙を流すのも
気持ちに逆らい笑って見せるのも
その人なりの強さなのでしょう
乗り越えようとする意志なのでしょう
葬儀に集まった人の数と
幸せは比例すると言われています
「生まれてきてよかった」
天国の魂はきっとそう思っていることでしょう
火葬場の煙突から浮かんだ煙は
思い出となってこの町に降り注ぎ
肉体は朽ち果てても心の片隅で
人はいつまでも生き続けるのです