風の魚
草野大悟

アフリカでうまれたはずが
からつけたまま
シベリアにあるき
こおりをわたって
このしまにたどりついた。

にまんねん
おどろくほどみじかいあいだに
このしまのじゅうにんたちは
虚飾をきそうようになり
ほかのしまの同系にあたまをさげ
はじらいも
わびも
さびも
とことんひからびて
おひとよしそのままに
食い尽くされている。

じゅうりんされるこの島
きばをなくした平和
こうかした動脈
なきつづける悲鳴
かけつけるパト
ひっきりなしのSOS
ぱんくする巡査

鋳型製造ましーんから
ぞくしゅつする生物性欠落症候群
あなたまかせ虚飾追求症候群

なうまんぞうが
けらけらわらっている
このくにのテイタラク

ほら
虚空に
風の魚が泳いでいる。


自由詩 風の魚 Copyright 草野大悟 2004-07-08 21:17:59
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