同窓会
よしおかさくら

飲みながら近況を話しても五下りほどで終わってしまうのだった

いかに平凡であるかを思い
いかに彼らと掛け離れているかを思う

仕事の話も
子供の話も
まるで持たず

景気の話も
話題の話も
さほど持たず

文章の話なら
少しもできず

笑っている輪の中に居ながら
笑顔が突然遠くなった

昔に戻るひとときをありがとう
もう眠いから
夫を実家に置いてきたから
お客さんが来ているから

自分のことを話すのは苦手
何もないふりで話したがりだから

理由をいくつも並べて
理由をひとつに絞れない癖も変われずに

さよなら好きだった人
あの頃の私も君ももういなかった

さよならみんな
今日はなんだか来なきゃよかった
いちばん楽しんでいたのは私だけれど
より遠くなった気がする

またねみんな
胸を張っていられるように
少し近づけるように
がんばってみるよ
何も持てないまま


自由詩 同窓会 Copyright よしおかさくら 2008-05-05 06:00:07
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