アクロス・ザ・ユニヴァース
大覚アキラ

ぼくのくちびるから
溢れ出した言葉は
美しい貝殻のような形の
きみの耳に流れ込んで
まばゆい光を放ちながら
絶え間なく反射しあって
きみの頭の中に
ゆっくりとイメージを結晶させていく

たとえば
ライムグリーンの木漏れ日の中
あのメロディを口ずさみながら歩くイメージ

あるいは
雨垂れの軒下から曇り空を見上げて
雲間から差す一筋の光を見つけるイメージ

それらを頭の中で転がすようにしながら
宇宙を横切る真っ白なラインの上を
ぼくたちは爪先立ちで歩いていく
一瞬で崩れ落ちる脆さと
そして
決して折れることのないしなやかさを
その一歩一歩に刻み込むようにしながら
力強く歩いていく

ぼくのくちびるから
溢れ出す言葉は
ぼくの言葉であって
ぼくの言葉ではない
それは 遥か昔に
始まりの場所から送信されたメッセージ

そうやって
ぼくたちが刻み込んだ足跡から
また新しい言葉が生まれ
ぼくのくちびるから溢れ出して
きみの耳に流れ込み
きみのくちびるから溢れ出して
ぼくの耳に流れ込み
まばゆい光を放ちながら
絶え間なく反射しあって
ぼくたちの頭の中に
ゆっくりとイメージを結晶させていく

ほら
宇宙を横切ってようやくいま
きみの耳に届けられた


自由詩 アクロス・ザ・ユニヴァース Copyright 大覚アキラ 2008-04-30 17:17:28
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