天気予報は雨
kauzak

?
まだ柔らかな朝の光を受けた街は
サッパリした顔で無防備に佇んでいる

夜に息をひそめていた澄んだ空気を
胸いっぱいに吸い込みながら歩きだす

あらゆる事が起こり得る一日の始まり
だからこそ静かに落ち着きはらっている

?
昼前に予報どおりに降り始めた雨
事務室で執務していた僕は気が付かない

雨の音すら入り込めない空間で
ディスプレイを睨んで何を産み出せるのか

外回りから帰ってきた同僚から
凄い雨だと言われてもピンとこないのだ

?
雨は夜になってもやむ気配がなくて
明日も荒れ模様になるとラジオが告げる

傘がない僕は誰かが置き去りにした
ビニール傘を拝借して駅に急ぐ

存外に強い風に雨粒も舞って
駅まで10分の行程で濡れてしまう


自由詩 天気予報は雨 Copyright kauzak 2008-04-28 00:36:57
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
音数20の快楽