満たされざる起床
黒川排除 (oldsoup)

くもりはじめたビンの栓 外されている 満たされていたものを解き放つ 限りなく無情に近い一瞬間 カレンダーは勝手に増やされている 三十二日 不規則に曲げられた針金の名残を思い放り投げれば晴れの日の憂鬱にいつかならねばならなかった涼しさが思い出そうと頑張っている側に置かれた溶けかけた氷の泣いたあとを追うことだ 証明しなければならない 人々にこれだと示さなければならない 両手は無事か 語るべきものを語り出そう/前方で街が焼け 後方で溢れる水を境に 並び立ち連ならぬブロック塀は 良きことを考える人や悪いことをしでかす人や人の甘い思惑やまた人自身が塗り込められている その上に視点を置いて 水と炎を題材に謎掛けをする少女 が燃えてしまった後のこと におい かみのけ それぞれ半分ずつしか持ち帰ってはいけない 最初から迷わなければ良かった そう思いながら 用意された帽子をかぶって 人間くささの薄れた体を元ある流れに/ビンを流す おだやかな流れ 白昼の一撃が容赦なく椅子に倒れ込む今は亡き面影を襲っている


自由詩 満たされざる起床 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2003-09-08 03:11:13
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