現実
舞狐

本の隙間から

ふとした時間の割れ目から

長くあけることのなかった引き出しから

ふいにあの頃のあなたが顔を出した


懐かしさに時間を忘れ
あの頃の自分になってしまう


愛し合って
愛しすぎて
苦しくて別れたふたりがそこに居た


いつか一緒になろうって言ったあなた
でも私の隣には居ない


時計は左には回らないし
砂時計の砂は下に落ちるだけ

だから
目を閉じて
本をしまい
引き出しを閉め
時間を縫い合わせる




自由詩 現実 Copyright 舞狐 2008-04-26 21:57:29
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