男と女
舞狐

自分の身勝手から
すべてに放り出された男

孤独と挫折を繰り返した
男の左手首には
すべてを終わりにしたかった
一本の深い傷跡がある


何も聞かず
何も言わず


後ろから私を抱き締めている男の手首の傷跡を
そっとなぞってみる


この男の今までの孤独と苦しみと痛みを

私は背中から吸い込み
優しさにかえて
唇から吐き出す


私には放り出せない男だから



自由詩 男と女 Copyright 舞狐 2008-04-20 18:24:20
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