ブーツの中のにおいを嗅いだ。
もののあはれ

寝ている隙にブーツの中のにおいを嗅いだ
気が遠くなるという言葉の意味を知った
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙に鼻毛を抜いてみた
殺すぞゴラァと胸ぐらをつかまれた
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙に携帯の電話帳をみた
僕の番号が仕事関係というグループに属していた
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙に布団を掛けなおしてあげた
疲れてるからやめてといわれた
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙に煙草を買いに行った
帰ってきたらドアにチェーンがかかっていた
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙に花に水をあげておいた
この花強いから水あげなくても枯れないんだよと自慢げだった
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙に部屋の掃除をした
誕生日にあげたプレゼントが未開封で放置してあった
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙にインターネットの履歴をみた
『パートナーをストーカーにしない別れ方』が検索されていた
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙に薬指から指輪を外しておいた
無くなっている事をまったく気にしていない
君を好きな気持ちに変わりは無い

寝ている隙に出ていくことにした
この小さな背中を僕ではない誰かが守ってくれる事を願った


君を好きな気持ちに変わりは無い






自由詩 ブーツの中のにおいを嗅いだ。 Copyright もののあはれ 2008-04-19 18:12:15
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