深騒燥想
ゆきのかけら(翡翠)
ずっと思っていた
私は何のために泣いていたのだろう
怖いから?
流れていくと思ったから?
涙はいくら流しても
痕を遺していくというのに…
ずっと刺さっていた
私は誰を思って泣いていたのだろう
消えゆく人々?
それとも私自身?
ひたすら泣きじゃくった
何も変わらないというのに…
胸の痛みは判るのに
どうして貴方の言葉を留める?
染み込む傷口幾つもあるのに
どうして許しを受け入れられない?
乞うているのに
乞うているのに
どうして自ら涙で塞ぐの?
いつの間にか降る白さに
独り耐えられる訳もないのに
諦念を揺らす私の瞳が謳う
"何故の同情か
何故の愛情か
私の中
焼き払う程の
想いが其処にあるのか"
嗚呼…
何よりも伝えたい言葉を
身体は
誰よりも知っているなんて
考える頭よりも先に
身体は
サイレンを鳴らすのだ
ジリジリと
胸を焦がすよに
"聴き逃してはならない"
"隠し通してはならない"
"引き剥がしては…"
遮れない…その訳
それは
私自身だから
消え入りそうな影も
隠しきれない鋭角も
淫れた思考…
その後の呵責も
全てが
私自身だから
隠す安らぎは一時
迫る現実は無限
隠しゆく程に押しつぶされる
…さぁ
胸をこじ開けるなら
現実の(この)、今
"聴き逃してはならない"
"隠し通してはならない"
"引き剥がしては…"