光る欠片、輪廻の種子(たね)
ゆきのかけら(翡翠)

"おはよう
生まれてきた
小さないのち"
これから始まる
輪廻の巡りに
母親は
一つだけ
欠片を落とす

それは
キラキラして
鋭くて
暖かな光を持つ
でも
歪な形に
削れて光る
硝子玉のような
欠片

…小さなあなた
あなたには
まだ分からないかもしれない
けれど
ある時にきっと分かる

触れ合いながら
暖めていく
営みの中で
あなたの欠片が
その先の破片を思った時

それは
目眩のするように
鮮やかで
息が詰まるほどに
苦しく
気の遠くなるように
甘く
そしてかなしい

途方もない位の
切なさを
からだに詰めて
どうしようもないくらいに
涙を流して
あなたは
欠片が何であるかを知る…

…小さなあなた
あなたには
まだ分からないかもしれない
けれど
ある時にきっと分かる

共鳴する音が近づき
シンクロする
ただひとつの
あなたの破片は
周り巡って
あなたのために
欠片を授かった

それはきっと
いのちの巡り
想いを託しながら
幸せを託しながら
あなたへ
そして
誰かへ落とした
小さな種

そう
沢山の人々が
呼び合い
引き寄せて
欠片を合わせ
見つけてその充足を
来世に繋ぎ
あなたに渡した
種の欠片

…小さなあなた
もし、あなたが気付いたのなら
ずっと持っていてほしい
あなたへの大切な贈り物

あなたを
あなたらしくさせる
あなたの存在を
作り出す欠片
そして
一つになり
種となり
次の輪廻を
創り出すための欠片

壊したりなんかしないで
亡くしたりなんかしないで



自由詩 光る欠片、輪廻の種子(たね) Copyright ゆきのかけら(翡翠) 2008-04-17 00:48:29
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