ひとりじゃない
成澤 和樹

もう 戻れない 白く霞んだ景色
誰にも理解されぬまま 歩んできた道
確かに聞いた 微かな日常の音
振り返るキッカケが欲しいよ 流れる時の中で

本当は時間なんてなくて それぞれの時を持っている
本当は道なんてなくて それぞれの道を持っている

微かに響いた音 全力疾走したあの日、耳に残った音に似ていた
時と共に流れた風の音に違いなかった
そこには僕自身の時間が流れていた
頬撫でる優しい時間なら 振り返ることもない

本当は時間なんてなくて それぞれの時を持っている
本当は道なんてなくて それぞれの道を持っている

もう 戻れない 誰にも理解されぬまま
みんなそう それぞれそうして生きている

本当は孤独なんてなくて それぞれの孤独を持っている
それぞれは独りでも みんなそうで、独りじゃない

ひとりじゃない

白く霞んだ世界に 生きている
霞んだ流れに 立っている


自由詩 ひとりじゃない Copyright 成澤 和樹 2008-04-16 00:47:32
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