かたほうの かたほうの
木立 悟




芽を花を実を
踏む道をゆき
芽を花を実を
肌に宿す
瞳のなかの高い窓から
さらに高い瞳を見るひと


影の脚が
影の胴を透り
羽の浮かぶ水
何かが去った跡へと至る


花をついばみ
鳥は人になり
冷たい道をすぎる背となり
陽が沈むまで歩みつづける


見えない花を見つめすぎて
人は鳥になり
陽が傾きはじめても
数羽もどらないものがいる


高く高く 高すぎて
歪んで割れている空の
色を失くした隙間から
芽に花に実に降りそそぐ音


午後の間だけ人だったものが
夕暮れの海へ帰ってゆく
ふとふりかえるものの片方の目に
高い窓と空を見るひと
さらに高みを旋る鳥が
金に緑にまたたいている















自由詩 かたほうの かたほうの Copyright 木立 悟 2008-04-15 10:20:41
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