Reproduction
Tsu-Yo
真夏の海岸でのたれ死ぬ
そこから私の旅ははじまる
*
毎日のように続く毎日の中で
呼吸をするのと同じくらい自然に
私の言葉は溢れ出てくる
笑顔のように涙のように
あるいは悲鳴のように
*
私は嘘をつきました
という嘘をついた日が
確かにあった
*
*
目蓋の裏で太陽が揺れている
小さな蟹が足の上を歩いていく
産まれた日のことを
私は少しずつ思い出している
それで
*
「無線LANとかUSBとか
そんな現代的な関係で
あなたとは繋がっていたい気がします」
海辺の寂れた喫茶店にて
数時間まえに
*
やっとここまで来た
まだここまでしか来ていない
目的地はない
*
もはや私の中に言葉はない
呼吸をするのと同じくらい自然なことは
生きていくのと同じくらい難しい
波にさらわれていく自分を見捨てて
ゆっくりと歩きはじめる
そこから私の旅ははじまる