饗宴
音阿弥花三郎

渚に沿って縫い目をつくる。
波打ち際の踏み越えられぬ境界が震える。
連続する性の向こう側から来る者に朝食の支度をする。
連続する性の向こう側から来る者は
連続する生の向こう側から来る者だ。
午後、人々は見るだろう 糸のように細い下弦の月を。
その下で、我々は酒宴を開こうではないか。
幸い海風も凪いだ。
花を摘んで髪にさし、ハッカ色の薄い衣をまとう踊り子。
赤い目の赤い髪の赤い靴を履く者。
崑崙山から降りて来た者。
熱波の土地を抜けた者。
足を失った者。
花は蜜をつけぬ。
昆虫も鳥も飛ばぬこの夕べ。
時ならぬ豪雪に見舞われ
白い海と
砂に酒を流して。


自由詩 饗宴 Copyright 音阿弥花三郎 2008-04-10 17:36:25
notebook Home 戻る  過去 未来