遠い日に想い出すことはなに?
近い日に想い出すことはなに?
振り返りながら君は笑って言う。
なんだろ、何かあったっけ。
真に孤独である意味はなんだろうか?
真に自由であることはどうあることか?
だから答えを求めて僕は彷徨ったんだ。
道から道を尋ねる旅は続いた。
寒い日は両手を擦り合わせ、
白い光の中で孤独な愛をめぐらした。
暖かい日はあなたのえりあしの匂いに酔った。
世界の果ての港町で夕日を見上げながら、
酒精の匂いにむせて膝をついた。
濡れ石に足をとられ、
両手をついた。
水溜まりに暗い夜空が映っていた。
流れていく雲たち。
自由はここにあったしそこにもあったんだ。
孤独であることは鏡に写る自分を見ることだ。
いや、鏡の自分に本当の自分を見せればいい。
目をつぶる僕とそれを見ている鏡の自分。
鏡の自分は目をつぶる真実の自分を見ることができたのか?
相対化する自分こそが孤独の魂。
水面に手を入れてかき回してみた。
虚構は悪戯な悪意にすぐに壊れてしまう。
静まるとそこには白い月が映っていた。
満月でもなく三日月でもなく、
それは中途半端な半月だった。
遠い日に想い出すことはなに?
近い日に想い出すことはなに?
振り返りながら君は笑って言う。