人間
草野春心



  首輪のついた犬を見た
  空き地をうろうろしていた
  もどかしい草のにおいに混じって
  撒き散らされた欲望の言葉



  首輪のない犬を見た
  彼はなにかを考えているのだろうか



  名前が僕を生かす
  概念が僕を生かす
  豊かさが僕を生かす
  貧しさも僕を生かす



  飼い犬が食べ残したドッグフード
  人々の感情の墓場
  いったい誰を殴ればいいの?



  畜生……



自由詩 人間 Copyright 草野春心 2008-04-05 23:55:30
notebook Home 戻る  過去 未来