洗面台の顔 
服部 剛

仕事から帰り 
洗面台でうがいをする 

ぶく ぶく ぺぇ
ぶく ぶく ぺぇ

まっしろな洗面台の
お湯と水のつまみは 
少し飛び出た両目で 
真中のましろい底に
丸い口を空けたまま 

ぼくの吐き出す 
一日の菌やよだれを 
道化師みたいなその顔は
ごくり ごくり 
飲み込んだ 

ようやくぼくも最近は 
誰かが吐いた苦い言葉を 
前より飲みこむようになったので 
少しだけわかってきた 

汚い唾を吐かれても 
無表情なフリをした 
ましろい洗面台のこころ 








自由詩 洗面台の顔  Copyright 服部 剛 2008-04-04 23:45:13
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