よくできた綺麗な季節
鎖骨




紙とペンとインクが相応しいと思った
相応しいというよりそれしか知らなかっただけなのだけれど
僕には普通の人のように仕事は出来ない
だからせめて書いていたいから
それだけだよそれだけ
ということにしておいて
四月が来るね
花粉症患者が泣き垂れて
終わった切花みたいになる季節が



社会一般の常識という尖塔から眺めて
社会的に普遍でない生活を送ってきた人間の
価値と処置を決める人間と
一度でいいから顔をつき合わせて話してみたいよ
先に言ったことは嘘なんです
人から後ろ指さされるようなものでも
かわいそうにあんな仕事をしてるんですってねと哂われるものでも
僕は仕事がしたい
雑念にとらわれない身体と頭で
でも方法が分からないし何より気力がわかないから
ペンとインクと紙とそれから
借家と死なずに済むだけの生活費があるから
嬉しいです
月に一度嗚咽してしまうけれど
しがつ、また四月です
インテリなメガネとスーツを新調しました
小難しい顔をしながら超未来的なタイプライターを叩いて
お金を生む会社に入るために




自由詩 よくできた綺麗な季節 Copyright 鎖骨 2008-04-03 22:43:55
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