渡邉建志


  そこはいつも夜で 小鳥が深い森にさえずっている。
  聞こえるかい?ねむる森の奥で
  のびやかにさえずっている声が。
  …ここはそこなんだ。ぼくらは飛んだんだ。


  月の照らす湖をまわる道を
  ひとつのオート三輪がはしる。
  一度まわるたびに暗い空へと
  大きならせんを描いて。


  あなたはぼくのそばにいる。
  降ってくる小鳥の歌を静かに抱いて
  かたちなきものを眠らせるように
  あなたは歌にこたえる、とても深い声で。


  エンジンの音が鈴のように響く。
  遠くに見える我が家のひかり。
  静かに揺れる甘いオート三輪は
  ゆっくりと虹を滑りおりていく。



自由詩     Copyright 渡邉建志 2008-04-02 01:54:57
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