赤の街
黒子 恭

見失った点滅信号に、今日五回目の舌打ち
僕らはきっと、過呼吸を強いられている。
戻る戻らないの選択肢しか出てこない頭で
進めって言う方がおかしい、たぶん。
 
 
昨日見た夢で、食っていけたらと思う。
思うだけで終わる。
街はどうしようもないくらい赤に染まって
僕ら、それに紛れて、紛れてゆく。
 
 
ローソンの駐車場に貼り出されていた
「地べたに座らないで」
の文字
僕はもう、ずっと前から
地べたに座り込んだままの気がする。
アスフアルトを覗き込んだ、体育座りが一人、一人。
 
 
気付いたら赤の街は
そっと落ち着きを取り戻して、黒。
いつか地平線とか、水平線を見に行きたい
嘘でもいいから付き合って欲しい時って、あるだろ?
そういう歌が、あればいいのに。
 
 
最初から美しい思い出なんか、本当は無くて
人は忘れてしまうから、思い出が美しくなるんだ。
 
そんな事を考えながら、今日が
美しくなるのを、願っている。
 
 
やがて信号が、青に変わって、僕は。


自由詩 赤の街 Copyright 黒子 恭 2008-03-28 04:34:57
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