忘却モラトリアム
智哉

桜が散る頃には君を忘れるだろうか

君の薬指に光ってた指輪が
もはや自分とお揃いでなかったことや
髪をかきあげる仕草が変わってなかったことや
相変わらず椎茸を食べられないことも

季節が移り変わるように
桜が散る頃には忘れていくのだろうか


高いヒールを鳴らしながら歩く姿も
少し寒いとストールを巻き付ける仕草も
僕の名前を呼ぶ声も

来年の桜が散るくらいまで
まだ急いで記憶から消えてくれなくもいいよ


自由詩 忘却モラトリアム Copyright 智哉 2008-03-28 01:26:35
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