あの鳥は夜を飛ぶ
佐々宝砂
あの光を見るためには
少なく見積もって三昼夜を
眠らずに過ごさねばならない
昼に見れば
赤い眼は赤く
白い冠羽は白く
くっきりと残像を残すのだが
それは光ではなく
単に赤い眼であり
白い冠羽であるのだ
月は泥に落とした乳
街灯りはない
そんな夜には
きっとあの光が見えるだろう
川沿いに並ぶ柳の枝から
柳の枝へ
ゆっくりと視界を横切り
あなたは平民に過ぎない
「勅なれば畏まれ」と
叫ぶ権利をあなたは持たない
あなたよりも位高いあの存在は
胸に鱗を飾り
ぼうと青白く光り
夜を飛ぶ
あの鳥は夜を飛ぶ
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創書日和、過去。