石井が死んだ
青木龍一郎

石井が死んだ
石井が死んだ

あの夜 僕と石井と巻田と藤原と4人で
火を囲んで はしゃぎあった

深夜の公園
ごおごお 燃え盛る炎を囲んで
いろいろな話を      した
グラビアアイドルについて 熱心に討論をする石井と巻田
二人のハイテンションに突っ込みを入れる藤原

たまたま そのとき 僕は声が出なかったので
僕は 静かに その三人の会話に笑っていた

炎の中に どこからともなくやってきた犬が突っ込んで
そのまま 焼け死んでいくのを 僕らは爆笑していた
笑いすぎて 少し喉が渇いて 手元の爽健美茶は空で
僕は公園の隅の水のみ場に行った

水を飲み終わる
そこから まだはしゃいでる三人を見て
また 歩いて炎の近くに戻るとき

ずっと これがつづくといい

と  すごく すごく 思った
そのためなら 世界中の国歌を全てマスターしたっていい

それからしばらく 僕らは あざれ合った



2007年12月8日(金曜日)午前2時31分



僕は一足先に家に帰った

僕が一人 真っ暗な道の中 家に向かっているとき
石井は 巻田と藤原に殺された
心臓におびただしい数の包丁が深く突き刺さっていた    らしい


石井が死んだ

石井は殺されたぞ

僕はそれ聞いた瞬間 思わず 思いっきり 涙を流した

暗闇に 灼熱の橙が延々と浮かび続ける
あの夜に 石井は死んだぞ
あの夜に 石井は死んだぞ


自由詩 石井が死んだ Copyright 青木龍一郎 2008-03-23 22:23:45
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