春断章
紅林

御自慢の新車のサイドシートをば独り占めする春の日だまり

誰知らぬ間に思い出を持ち去りて消えたし
春の風のごとくに

春立つ日
去り行く冬に置いていくもの並べたら
カラになる我

丸筒を振りて学友門を出る
これがこの世の別れと知らず

※以下ハ歌舞伎「積恋雪関扉」ヲ観テ詠メル
冬の神
春の女神と添われぬが定めと知りて
涙 斧濡らす


短歌 春断章 Copyright 紅林 2008-03-22 23:34:48
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