春の自動車学校
服部 剛

休日の昼過ぎ 
先月から通い始めた 
自動車学校へゆくと 
校内のすべての車は停車して 
教習コースの道に並ぶ 
紺ブレザーの教官たちが 
にこやかにキャッチボールをしていた  

長老の校長は 
バットの代わりに杖をかまえ 
若い教官の手がすべった 
内角攻めのボールによろついて 
笑いながら怒った顔で 
杖を振り上げびっこをひいて 
ぎこちない突進をする 

周囲の教官たちは 
どこ吹く風というふうに 
小気味よく 
あちらこちらでボールを投げる 


  ぱん ぱ ぱん ぱん 


いくつもの白球が
グローブに納まる 
乾いた音 

教習コースの背後に広がる 
山々にうっすら 
桜の蕾は色づいている 

小春日和の
自動車学校 








自由詩 春の自動車学校 Copyright 服部 剛 2008-03-19 19:02:54
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