「空を見たいと思うとき」
ベンジャミン


今年はじめての風邪をひいて
布団の中でまるまっていたいのに
僕は先生なんて呼ばれたりしているので
待っている子供たちのために教室へ行く

ところで
そこの教室の窓はとても大きい
僕が背伸びをして手をのばす高さより

子供たちはよく一列に横に並んで空を見る
空に浮かぶ雲をながめたり飛んでいる鳥や
そして何やらたくさんの事をはなしている
けれど見つめる先の未来が僕には見えない

そういえば小学生の時に
「君は空を描くのが下手だ」と言われて
僕の絵筆と絵の具を使って
僕が見たことのない色の空を描いた人がいた

ところで
そこの教室の窓はとても大きい
教室の奥の僕のデスクからも空が見えるほど


今年はじめての風邪をひいて
ぼんやりとしたまなざしの中でたわむれている
子供たちの未来がやっぱり僕には見えない

だからせめて
子供たちが見たいと思う空の
少しでも近い色の世界を見せてあげたい

そして空を見たいと思うとき

ときおり感じるそんな感情の中で
僕自身の空の色をさがしながら
いま目の前にいる子供たちの瞳の中に

もしかしたら在るのかもしれない
そんな色を

空を見たいと思うとき

そんなあわい期待をもって
ときどき一緒に並んで眺めたくなる

僕が見たいと思う空を




    


自由詩 「空を見たいと思うとき」 Copyright ベンジャミン 2008-03-19 12:33:58
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