【短歌祭参加作品】かげろふの、むこう
望月 ゆき
遠ざかる夏の約束今さらに水たまりに咲く蓮の鳴き声
失ったものなどひとつもないような ちいさな津波のあとのリセット
くちづけで透明なピリオドを打つ始まらないままの第一話
足早に過ぎていく過去を追いかける 地図のない空 不時着の夜
消音の夢のあなたの臨終で唇読めば「たましい」と呼ぶ
在りし日のかくれんぼうの恋人に見つけてくれよと鳴らす霧笛の
満開の「さようなら」舞う三月の風に裏返る春の掌
短歌
【短歌祭参加作品】かげろふの、むこう
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望月 ゆき
2008-03-18 01:20:56
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