しっかりしたみんな
狩心

スタッフ皆は「こだわり」を持っていた
ぼくは、

浮遊する事にこだわりすぎて
怒られ続けたね、 ねーんねーこーころーりーよー こーろこーろーりー って
年上の女性が慰めてくれたんだ 居酒屋で たぶん遭遇したのは宇宙人
だって、 ぬ る ぬ る してたから、

今夜の晩は満月だった
「こんばんは」
誰も居ないトンネルに100回挨拶すると
100回無言の返答 「沈黙」が返ってきた
流石にきもちイイ
まっくらい世界に包み込まれる夜は
誰かに抱かれる夜は
流石にきもちイイ
石のように冷たい肌に 鼓動を探して・・

目が
点になって
点々が蟻地獄になって

女は 大蜘蛛になっていた

ラジオ体操を始めてももう遅い
僕の運動不足は今に始まった事じゃないんだ

「こだわり」を持っていた
ぼくは、

浮遊する行為 脱力する好意
あいをかんじたあとのいっしゅん
おおきなくもにたべられるときのいっしゅん
居酒屋に流れる青い血と
それに毒された緑のおでんの話

おでんよ
デンプンはまだか?

おでんよ
本当は 茹でたり、焼いたり、しちゃだめなんだ
おでんよ
茶碗蒸しは美味いよね
君の天敵かナァ。

かけよるスタッフは皆やさしい

みーんな
やさしさにまぎれて かおもみえない
やさしさにまぎれて 指先が「こだわり」になっていった
繊細な世界に落ちた天使
蟹股で歩くエロチックな少女は
耳たぶで蟻を潰してイヤリングにしていた
イミテーションイミテーションとか言って

からだに

なにかをのこそうとしていた

クラゲがことしもうみをわたる
ボートに乗ったぼくがそれを追い掛ける

絶滅する前に
原初の
ガラパゴス諸島に着くと思う

方向の計算は指に付けたよだれ
それをあいぶする風
イミテーションじゃない
こだわりを持って

しっかりしたみんな

さよなら


自由詩 しっかりしたみんな Copyright 狩心 2008-03-14 22:00:35
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