海月

電子の中で君を探る
指先に電気信号が走る
チクリ
少し痛みが走る
君の温もりに触れたのかな
少しでもポジティブに考えなければ
君の事を探すことが出来ない

巡る言葉は数に表せないほど
君の通った軌跡を僕は通り過ぎる
地面の落書きとか笹の葉の船とか
君が残した三次元の物体に心弾む

昔の番号に電話をかけた
ピー
発信音の後に用件を
僕はそこで受話器を置いた
言葉はいくつ繋いでも時間以内に終わらない
悲しい電子音が響く

今日、最後の電車が闇に走る
缶ビールの味が美味しいと思えた
あんなに苦くて不味かったのに
僕は一つ大人になって
君の事を一つ忘れて

明日には伝えたい言葉を忘れて
一年後には君の事を忘れて

日々、思い出す君の声
隣人は皮肉にも君の得意な曲を弾いている

明日にでも隣人に会いに行こう
その曲を止めてもらうために



自由詩Copyright 海月 2008-03-14 00:24:29
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