こたつは時雨れている
くあせ@ふじこ



ただ絶望して
まっすぐ炬燵に落っこちた
寒い夜だ


時雨という
美しい名をした雨が
しとしと降っていた
人はこの名を愛すというが
温度はまるで刺すようで
指はきんきん
真っ赤な棒のようだよ


ぽん、と
忘れられた手袋が
そこにはあって
その真下の発熱灯のもと
もぐりこんでまるくなる
上は洪水
下は大火事って
それは風呂か
ただ何でもいいから
蝕んでほしい
この指の先を足を


お風呂がわくまで
このまま少し眠る
時雨れているのは
もう炬燵のすぐ外





自由詩 こたつは時雨れている Copyright くあせ@ふじこ 2008-03-10 04:39:11
notebook Home