あの日を暮らせば
猫のひたい撫でるたま子

相変わらずわたしは荷物が多い

どこかからどこかへ、なにか必要なものを、過去になった場所から現在生きている場所へと運んでいる


大変に邪魔な荷物と夕暮れすぎの中央線。

昔々にオーダーした小説が封書で届いたので揺られながら読んだ。

なにも起こらない、私のための小説、
というオーダーにぴたり沿うような

なにもない一日を裏切られたような


女の子が書いたみたいな

主人公は私のようで私じゃなくて、遠く離れた私のようで

繰り返し読みたいから読み切りたくない、
あたしの大切な枕小説になった

捨てる訳にいかない紙切れがまたひとつ増えた


嬉しいような
哀しいような


在るものは裏切れない

破って捨てても忘れらんない

こんな、私は私の「ある一日」という小説に沿って無くしたはずの鍵をかけて今夜も眠る。


自由詩 あの日を暮らせば Copyright 猫のひたい撫でるたま子 2008-03-07 09:00:50
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