姪肉
黒川排除 (oldsoup)

柱研がれて朝焼けの六対になる

思い出の本に無くした腕の跡

肺に達する狐を揺らして教会に行く

重い気泡徐々に浮上し階下で弾ける

熊の手を熊から降ろす階段長い

だれもかも老いたる竜のそばの一滴

水を薄く伸ばして頭の後ろから入れる

紙折れている方にあるぼくの部屋

牙がシートから抜けない振り子を眺めている

ベーカー街ある日の塵飢えていて紫煙

電気信号阻害する沈黙狂気は机上に

血が分かる姪肉親の向こう見る

谷底から電球吊す強い風

路地裏からカクンと降りてくるレバー

したたり足りぬ雫枝を押し破りぱらつく

喚び声に似た舵で突き上げる海

砂糖分けて市が見える砂糖が気がかり

車輪虚仮威しに回る タオル引き寄せつつ

月のない家の息に浮いている窓

本取る不快な仕草からひらがなひとつ


川柳 姪肉 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2008-03-07 04:18:27
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