大手資本から見捨てられたハンバーガーショップの話
kauzak

かつては、大手菓子メーカーがフランチャイズ展開を
していたハンバーガーショップ。今は、身売りされて、
櫛の歯が抜けるように店舗が減っていることが、イン
ターネットで紹介されている。(もちろん公式ウェブサ
イトもあるわけがない)最近、何故かハンバーガーに取
り付かれている僕は、消えてしまう前に一度は食べて
おかないと後悔するという、偏愛だか義務感だかよく
分からない感情を胸に、県の東南部の市にあるスーパ
ーを訪れる。とはいえ、最近のショッピングモールの
形態じゃなくて、一昔前のこじんまりしたスーパーで、
申し訳程度に設置されているフードコートは閑散とし
ている。(けれど、僕にはそれが心地よくて)ハンバー
ガーショップは元の大きさの三分の一の大きさに縮小
されたようで、その上レジに人がいなくて奥に声を掛
けるしかない。味には期待が出来ないかなと思いなが
らも、一番ボリュームのありそうなBLTバーガーを
頼むと、手製の番号札(それも折れている)を渡され
る。やがて、運ばれてきたBLTバーガーは意外とし
っかりした容器に包まれていて、早速、一口かぶりつ
く。ジューシーなベーコン、シャキシャキしたレタス、
爽やかな酸味のトマト、マスタードとマヨネーズとタ
ルタルソースが華を添えるハンバーガーは、シンプル
だけどきちんと調理した料理を食べている感触があっ
て単純に美味しい。その味に驚きながらレシートを見
ると、ハンバーガーショップの名前はなくて、代わり
にラーメン屋らしき名前が書かれている。不思議に思
いながらハンバーガーショップを見ると、さっき僕の
ハンバーガーを作ってくれた女性が、隣のラーメン屋
でラーメンを作っていた。


自由詩 大手資本から見捨てられたハンバーガーショップの話 Copyright kauzak 2008-03-07 00:50:59
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