脆いもの
Tsu-Yo

いつの間にか
昨夜の雨はあがり
小さな水溜まりには
薄い氷がはっていた
飴細工のように
脆そうなそれの上に
理由もなく
足を乗せてみる
みしっ
と微かな音を立てて
氷は割れた

取り返しがつかないことに
気がつくのは
いつだって
取り返しがつかないことを
してしまった後だ

割れた氷の下から
濁った雨水が湧き出し
わたしの靴を湿らせる
氷が脆いのではなかった
氷の上にあったものたち
それが脆かったのだ



自由詩 脆いもの Copyright Tsu-Yo 2008-03-06 21:30:56
notebook Home 戻る  過去 未来