「カーテン」
菊尾

酷いことばかり考えてるね
眠ったふりして誰かの心配をやりすごす
物音一つが反響していく
さっき飲んだことも忘れてしまいそう

記憶に無い人が笑うが一体何が楽しいのだろう
落ち着いてと宥められても
話し方や仕草が気になって落ち着けない
視界の端にチラつく僅かな余白
抱いてくれるなら無言で抱いてほしい
大丈夫なのはあなただけ

知っていたはずだよ
あなたは痛みだけ置いていくってこと
見え透いた言葉なのに嘘だなんて疑わないで
在りのままなんて見せられずに
ただ破綻していくことを知っていたのにね

どうしてそんな風に物怖じしないで
どうしてそんな風に信じているものを押し付ける
あなたは最初に見つけてよ
その為にその手で全部終わらせて
許すから
そう望んでいるのだから

冷たい指先では何も掬えない
優しさにも見切りをつけて仕度を整える
絶望することにも飽きてしまった
朝が綺麗だったからという理由
それだけで別れなんて告げられる
あなたへの残し方は
それぐらいしか今ではもう浮かばずに

甘い希望に浸る
きっともう揺れることはないカーテン
魅力的で官能的な椅子を蹴り倒したら
さぁ

さようなら


自由詩 「カーテン」 Copyright 菊尾 2008-03-06 17:53:16
notebook Home 戻る  過去 未来