うつろいの花
ましろ

ひやり 
頬にひいやり
まばたきをしたら
お日さまのこぼした泪は
空にひろがって
くりいむ色の野に
しろい花が咲いた
ぽつぽつぽつ 

鳥が落ちて
風がめくれあがり
足音がかけて
ざわめいた

淡雪はとめどもなく
山も川も家も みんな
おいてけぼり
忘れられた迷いびとは
しろい綿ぼこりの山に
隠れてしまった

あかい小鳥につつかれて
うつらうつら
まぶたをあけると
ぶあつい冬芽が
しろい天を
触ろうとしていた

ねこやなぎの木の下でくりかえす吐息といき

ぬらり
ぎんの光りが
あかい殻をわって
花穂がふるえる

くすぐられた
雪は花になって
白鳥が水面みなもを蹴って
はばたいた


自由詩 うつろいの花 Copyright ましろ 2008-03-06 16:41:35
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