1986 映写機は生まれ
鎖骨


1986 その映写機は生まれ






歌詞は書き留めずに吹き流すのがいいと
古い頃を見返すように鳴るアナウンス
今夜の一本はロンドンの人の行き交う地下鉄を
セピア色調にしただけ、その上サイレント
河岸は昨今の気象異常で崩れてるから
何があるか分からんので立ち入り禁止です






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愛しきを抱いたか
糸杉を抱いたか
糸屑を抱いたか
景色はいと近く
けれど酷く霞み
つまり良く覚えてない
そんなもんさ






夢にはしょっちゅう出るけど
顔は湯気でぼんやり
風呂の中なのさ
でなけりゃ霧立ち込める日本五大湖
行ったこともなければ
ありもしないかもしれない
でも印象に残るから、何か責められるから
忘れられないんだ
そういう景色の残像に生きて
最後に現実を見たのはいつだったか






辛い酒ほどいい
やりたいことが遠ざかるから
言いたいことから遠ざかれるから
いい気分になって暖かくもなって
指も軽快に走るよ、絡まるけれどね
一時いい気分になって
それで














最後に現実を見たのは
見たのはいつだったか


自由詩 1986 映写機は生まれ Copyright 鎖骨 2008-03-06 01:08:48
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