青色遊戯
しろいろ


瓶詰めの淡い桜の花びらに葬られている背骨がふたつ



水仙を手折った君の指先が夕陽で赤くて綺麗で恐くて



ぬるいよる鏡の自分と目が合ってさびしそうだねって笑ってあげたの



あれ以来壊れたチャイムが鳴っていて残った回路が少し、みにくい



色あせた手紙をなぞって切れた指じっとここから動けずにいる



齧るのに飽きた林檎でいいんだよ君の歯型が残るのならば



角の丸いバターナイフをそっと引く夜の暗がり冷蔵庫唸る



ダムの底沈んだ街の信号機 点した赤が滲んで消えない



一人だけそっぽを向いた君の写真/途切れがちなオルゴールの音



青空を砕いた瓦礫を投げあって僕らは誰にもなりたくなかった





短歌 青色遊戯 Copyright しろいろ 2008-03-04 08:21:39
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